2014年12月25日

小説 物置小屋からの脱出

物置小屋からの脱出 小説版



ガタン!ガタンッガタ!!・・・???ドアが開かない?
頭で理解できず、閉じ込められた恐怖でパニックになる。
ハンドルを掴みドアを左右に引くから、ドアを叩いて助けを呼ぶに変り、ドアに体当たりする行動へと移ったが
青いドアはビクともしない。無駄な労力と酸素を消費しただけだった。
力ではどうにもならないと分かると、考える力が蘇る。

友達と遊ぶため、サッカーボールを取りに臭くて汚い物置小屋に入っただけなのに、
何でこうなるんだ?ジョウダンだろ?あれから誰も助けに来てくれない。外の騒ぎに弟は気付いてないようだ。
ここで死体となって発見されて・・・新聞に載って・・・どんどん悪い方へと考えてしまう。涙があふれる。
死にたくない!!死ぬもんか!!何としてでも出てやる!!でもどうしたらいいの?

開かないドアを睨むと横のパスワード入力装置に気付いた。
確か・・・父さんが泥棒対策にロック装置を買ったとはしゃいでいた。

「盗まれるようなお宝なんて、家にないだろう」

ボクは呆れて、教えられた暗証番号を気にも留めていなかったよ。

記憶の底から、忘れたときのためにメモを隠したと言っていたことを引き上げる。
それは希望に変わり、生きて出られることを確信した。
―ボクの生きるための脱出が始まる―


パスワードのメモを探すために周りを見渡す。
棚2つにダンボールとスコップに植木鉢にスキー板・・・
黄色い小さな棚には、赤い道具箱が有り、かなりサビ付いている。
その横にはダンボールが積み重なって、ホコリなどで黒っぽく汚れてる。
ダンボールの右には、大きな銀色の棚、上の段にはおもちゃ入れと書いた箱と、水色の工具箱が置いてある。
中段の2つの箱には食器と花瓶と書いてある。かなりイイもので普段で使うと浮いてしまう物だった。
下段はヒモで縛った古本と古新聞紙の束が置いてある。
右隣は使わなくなった絨毯とスキー板、植木鉢と肥料と鍬が置かれてる。
母さんが家庭菜園をすると言って買い揃えたが、そのままになっている。


まず、黄色い棚の赤い道具箱から手をつけることにした。
道具箱を触る手に赤黒い粉が付く。汚れで顔が歪むがガマンだ。
フタを開けようとしたが開かない。さらに力を入れるがダメだった。出だしでコケてため息が漏れる。
どうにか開けようと周りを調べると、フタとの間に隙間を発見した。

細くて頑丈なモノで開くかもしれない、後回し・・・あれ?これって昔プレイしたゲームと似ているじゃないか。
探偵の主人公がライバルの怪盗の罠で、古い屋敷に閉じ込められて道具を探して使用する脱出ゲームだ。
ゲームでは、隙間のある箱は鉄定規で開けることになっていた。
まさか自分が・・・ゲームみたいな体験をするとは、探偵じゃないけど。

(カードキーが見つからず、友達に「棚の後ろを見ろ」とヒント貰ったなあ)
と思いながら何気なく棚の後ろを覗くと、暗いながらあるモノを発見した。
が、狭く中央の所にあるので手がとどかない。(リアルゲームかよ!!)突っ込む余裕が出たようだ。
棚の横の棒のようなモノを取り出し

「OOOO取ったどー!」

と、叫んだが恥ずかしさと虚しさで顔が赤くなる。

隙間に棒を入れ、あちこち行くアイテムを何とか取った。

隣のダンボールに手をつけるが、あまりの汚さに右指2本で端をつまんで開くと
ホコリを被った空き缶と空き瓶に混ざって、あるモノが入っていた。
何かに使えると思って取り出し、邪魔にならないように床に置いた。

汚れを落とすために、両手を叩きながら大きな棚に移動し、背伸びをして上の棚を覗く。
青い工具箱を取り出そうとしたがすごく重い。そのままにしてカギに手をやるとグラグラして取れそうだ。
ピンときてあるモノを取り、力まかせに留め金を叩くと3回目に下に落ちていった。
フタを開けるとドライバーにスパナにキリなどの工具がたくさん入っていた。
道具箱の隙間に入りそうなモノを、工具箱から取り出した。

隙間に入るかどうか調べるために、道具箱のフタの間に入れるとフタが開き、
勢い余って中身をぶちまけ、軽い音をたてて落ちる。
あまりのことにポカンとしてしまい、床に散らばるモノを見て片付ける気が失せてしまった。
(ゲームだったら、汚れる・片付け・散らかすなど面倒なこと無いのになぁ)

再び大きい棚に戻り、おもちゃ箱や食器に花瓶の中を調べたが何も無かった。

ある、おもちゃを手に取るとカランと音がした。振るとカラカラと音がした(何かある)
調べると後ろの所にカギ穴があった。今のところアレは見つからない。

下の段の古本を調べると紙が挟んである。引っ張ると破けそうだ。
ヒモを切って紙を取り出そうと思ったが、後が面倒くさい。
何かいい方法はないかと考えていたら、本の間に隙間を作り紙を取り出すことを思いついた。
紙の上の本を持ち上げ、厚みのあるモノを突っ込む。紙を取り出すことに成功した。
紙はリストだった。ガッカリして紙を本の隙間にねじ込む。ガンバッタのに・・・

古新聞を調べようと捲ると

「うぎゃぁ!!」

ペシャンコになったゴOブリが紙に張り付いていた、嫌なモノを見た。
母さんの仕業だ。情けないことに男3人、ゴOブリが苦手なのだ。
退治役は母さんである。叩いたそのままにして、忘れてヒモで縛ったようだ。

「うげー!!ちゃんと片付けろよ」

棚の下を棒のようなモノでかき回したが、出てきたのは工具箱のカギの部分と大きなホコリだった。

次に植木鉢のある所に取り掛かった。土と肥料袋を見つめる。
いつになったら家庭菜園するんだろう?今年こそはと何度も聞いているし聞き飽きた。

屈んだとき、頭が板に触れた。倒れた衝撃で白いモノが飛び出す。
何だろうと床に転がったモノを拾う。(どっから出てきたんだ?うん?)
頭の糸の色が違う、雑に縫ってあって触ると硬い。それに黄色いモノに紙が挟んであった。紙を取り出し開くと

「じゅんちゃんへ ひっこししても友だちだよ。たからもの置いていくね 大すけより」

だいすけ?大ちゃん!!家の斜め前で、いつも一緒に遊んで・・・5年生の時に引っ越していった友達。
2人で池に落ちて親に怒られたことを思い出し、顔がむず痒くなる。
今は電話のやり取りだけになってる。簡単に会える距離ではないのだ。

「なぜ手紙がここに?それに宝物ってなんだ?」

混乱しながらも何かあるか探す。土の入った白と緑の植木鉢が目に入る。
土の1箇所が盛り上がって、手を触れると硬かった。掘ると小さいモノが出てきた。
長く土の中にあったせいか、硬く滑って手では開けられなかった。
足で踏んで割ろうとしたが無駄だった。道具が要るのか・・・

ズボンのポケットに入れたモノが落ちた音に気付く。動揺して入れたようだ。
ピンクの糸を切ると、金属のモノが出てきた。
震える手でソレで開けるが、中のモノは転がって何処かに消えた。
慌てて探し拾うとそれは懐かしいモノだった。
裏に絵が描いてある、昔流行ったマスコットキャラで、しかもレアだ!

懐かしそうに裏表に返して見つめる。記憶では大ちゃんの1番のお気に入りだった。
ギュッと握ってポケットにしまう。指に何かがアピールしてきた。
それを取り出し、置きっぱなしの道具で叩くと、ヒビが入って割れて紙切れが出てきた。

「ドアのパスのヒント ボクのOOO」

と書いてある。

「え?あのリストがヒントだったの?」

慌てて紙を取ったので破けたが、ボクの部分は大丈夫だった。
パスを入れ何とか外に出ることができた。
―そして―


「おい、純!起きろ!酔って寝るなよ・・・せっかくの同窓会だぞ」

ハッとして起きる。まだボンヤリしてる。
(物置小屋に閉じ込められて、大ちゃんの宝物を見つけて・・・あれ?)
眼の前にガッチリした背の高い男がいる。立派な和室に人がたくさんいて、心配そうに見てる人がいた。

「大ちゃん?夢??」

「おいおい、大丈夫か?」

彼によると、6年のクラスの同窓会中にボクは酔いつぶれて寝たようだ。
つまり、酔って寝て昔閉じ込められた夢を見たというわけだ。

その同窓会に大ちゃんも声をかけ参加になった。半月ぐらいだけど同じクラスだったから。
大祐の参加に反対する者はいなかった。何人かが彼を懐かし会たがっていた。

おもむろにシャツのポケットから大切なモノを取り出し、大祐に見せる。

「懐かしいモノを見付けたんだ これ1番大切な宝物だろ」

彼は驚いた顔をしたが、すぐニヤリとした。

「簡単に見つからんと、思ったのに」

ボクも釣られて笑い

「見つけてほしかったんだろ」


後の話しだが、
弟が犬小屋から、歯型だらけのサッカーボールが見つけてくれた。
ボールはお袋が要らないと勝手に思い込んで、飼い犬マックのおもちゃにしたそうだ。
家庭菜園は今もやってない。物置小屋の中で寝たままだ。

変なパス隠しは、親父があのゲームをヒントにして作ったと自慢していた。
「楽しかっただろう」としつこかったが、腹立つし疲れるだけで二度とやりたくない。
posted by ぽんぽこ at 17:44| Comment(0) | 小説 | 更新情報をチェックする

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